もうひとりの経験者。
2006年11月26日(日) その弐 |
彼が出してくれたのはカウカウだけで、豆やトウモロコシやキュウリはおろか、水さえなかった。私たちは外で十一頭の豚に囲まれたが私の周りを行ったり来たりし、口から涎を垂らしながら辺りのものを嗅ぎ回ったり、なめたりしている。豚たちはたぶん私が今座っているこの場所も、地虫や雑菌を吐き出しながらなめ回ったりしたのだろう。
『震える山〜クールー、食人、狂牛病〜』
- ロバート・クリッツマン 著 |
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贈呈セレモニーが終わると、違う広場でムームーをやっていました。パイガタサのムームーは野菜のみのムームーで、ニワトリやブタは入れません。今回ニワトリは別に煮ていました。
特にブタは現在パイガタサでは1頭だけ。「震える山」ではパイガタサにはたくさんのブタがいたことが紹介されていますが、なぜ今はいないのか?ドナルドに聞いてみました。
「この地域に教会がやってきたときに、ブタを禁止するよう言われたんだ。だから、今はこんなに少なくなってしまったんだよ。教会の名はSDA(Seventh
Day Adventist)。タバコだけでなく、ブタも禁止しているんだよ。」 |
村の広場でムームー。 |
ムームーを終えて、おじいちゃんがやってきました。
「このおじいさんも昔人を食べたことがあるんだ。」とドナルド。
早速、話を聞くことにしました。
> おじいちゃんのお名前は何ですか?
「Kiebu Yoyoだ。」
> 何歳ですか?
「83歳だ。」
> いつ人を食べたのですか?
「わしが10歳の頃だ。そういえば、1942年にAwandeで日本の飛行機が墜落したのを目撃したことがある。」
> 誰を食べたのですか?
「祖父、それから伯父も食べた。」
> 体のどこを食べたのですか?
「肺を食べた。祖父の時も、伯父の時も肺だった。」
> 祖父と伯父はなぜ亡くなったのですか?
「部族間闘争だ。」
> どの村と部族間闘争があったのですか?
「まずKeyaganaとの間で闘争があり、パイガタサで祖父が死んだ。そのときに祖父の肺を食べた。それからKeyaganaに村を追われ、Gimiまで逃げたがそこで伯父が死んだ。そのときに伯父の肺を食べた。」
クスクスの毛を頭に巻いていたKiebuおじいちゃんは昔のことをよく覚えており、細かいところまで丁寧に答えてくれました。
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もうひとりのおじいちゃん。 |