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クールー病の村。 2006年11月22日(水) その壱

  【クールー病 / Kuru disease】
  脳に多く含まれるプリオンと呼ばれるタンパク質が変異し、脳が海綿状(スポンジ状)となる病気。異常プリオンに接すると正常プリオンが異常化し、ドミノ現象的に異常プリオンが増加し脳病変が加速される。発症すると痴呆、運動障害を引き起こし、発症後は確実に死亡する。種の壁を越え感染する。経口感染するため、パプアニューギニアのフォレ族が行っていた食人の儀式により感染が拡大した。感染後何年もの間潜伏し、潜伏期間は最長で40年とも言われる。なぜ種を越え感染するのか、経口摂取された異常プリオンがどのようにして中枢神経系に移行するのか、なぜ何十年もの長い間潜伏するのか、その理由は未だ不明である。

 「あの熱帯雨林で君は今まで何をしていたね。」
 「サナとサユマとともに、患者を診にあちこち徒歩で回っています。」
 「結構」と言って彼は初めて笑顔を見せた。「もう一人、ガナラというガイドがいるんだ。パイガタサといういたって原始的で遠くの村のはずれに。」
『震える山〜クールー、食人、狂牛病〜』
- ロバート・クリッツマン 著
 
 東ハイランド州オカパ地区。50年代この地域で多くのクールー病患者が発見されました。この辺りでは、昔から亡くなった親族の体の一部を食べる食人の儀式が行われていたからです。この頃見つかったクールー病患者の多くは中年女性、少年少女でした。異常プリオンが大量に含まれる脳は儀式の中でとても重要な箇所とされ、優先的に妻やその子供たちに与えられていたからと言われています。
 オカパ地区南西部に位置するパイガタサ村。上記の書「震える山」でも登場するこの村でも、食人の儀式は行われていたのです。
>>オカパ地区周辺地図を見る

「震える山〜クールー、食人、狂牛病〜」
- ロバート・クリッツマン 著 / - 榎本真理子 訳
- 法政大学出版局

 今回のパイガタサへの旅の目的はもうひとつありました。
 それは、クールー病に関する話を村人から直接聞くということでした。

 - 「食人の儀式に関わった人はいるのか?」
 - 「クールー患者は今でもいるのか?」
 - 「"震える山"に登場するパイガタサ村の"ガナラ"なる若者(当時)は実在するのか?」

 "この旅は、ここにいる今しかできず、ここにいるボクにしかできない。"
 そう思うとよけい、期待と喜びと緊張がごちゃ混ぜの感情で胸が一杯になっていきました。

 今回のパイガタサへの旅の仲間、テクマルのイガビ兄弟にクールーについて聞くと驚きの事実が!
 「それなら、うちのお父さんが知ってるよ。オペに関わってたんだ。今から呼んでくるよ。」

テクとマルのお父さん。
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