マーケット、近くそして遠い    2006年6月2日(金)     記事一覧へ    前の記事へ    次の記事へ
プアニューギニアは肥沃な土地が豊富で多くの作物が良く育つ。私達が生きるうえではまったく困らない。それ以上に多くの作物が手に入るほど恵まれている。そのため、余った作物を商品作物として売り、そこで得た収入でより快適な生活をすることができるはずだ。しかし悲しいことにその恩恵を受けている村人は驚くほど少ない。商品作物の輸送手段が極めて困難なためである。


で切り崩された崖に囲まれたカブウム村、深い渓谷にあるタピニ村、うっそうと茂る深いジャングルのカメア村、高く鋭い草原の奥に佇むメンヤミャ村、急流が流れ込み村人の行方を阻むポミオ村・・・、過酷な地形のため輸送が困難な地域は数え上げればきりがない。毎日のように彼ら村人の悲鳴が聞こえてくるようだ。悲鳴は場所や人を問わず聞かれるが、その悲鳴に共通している一語、それは「HELP」の一語だ。彼らは国に助けを求めている。


"荷車を馬の前に置くな"ということわざがある。言いかえれば、"正しい場所でその場に適したことをしろ"ということである。果たしてPNGは適した仕方で輸送問題に取り組んで来たのか。


の不足、それを補うための高額な船や飛行機による輸送。結局、多くの商品作物が捨てられてしまっているのが現状だ。
「私達にはピーナツだけでなく他の多くの作物を作り出す土地も労働力も時間もある。でも収穫された作物をどうしたらいいのかわからない。」村人達は作物を売ることを心から望んでいるのだが、今の状態は言ってみれば、辺りにまったく橋のない崖っぷちで立っているような状態なのだ。


性地位向上協会のリーダーはこう言う。「どの村の作物もこの国の経済促進の起爆剤となる力を持っているはずです。政府はもっと作物の輸送問題について目を向けて欲しい」

れらの問題を受けて政府が行ったこと、それは輸送にPNGの軍隊の飛行機を利用することであった。しかし、現在は"お金がない"というその一言で利用が困難な状態となってしまっている。飛行機の燃料費を考慮すると、赤字になってしまうというのだ。

ハイランド州ワギ地区の代表マクストン氏はこれこそ、政府は"荷車を馬の前に置いている"のではないかと指摘した。彼はこの現状を真摯に受け止め、他国の輸送問題もつぶさに研究し、PNGの村人の助けとなるアイデアが多数あることに気づいた。「飛行機の輸送は、今のPNGには適していない。PNGにはPNGに適した輸送手段があるのではないか。」

「手押し車、自転車、三輪車、動物の力を使った車など世界では様々な手段で作物が輸送されています。例えば自転車は多くのアジアの国で村の女性たちの労働を促進させる手段としても非常によく利用されています。しかしPNGでは動物による輸送が一番適していると考えます。」

は今、動物の力を使った輸送の研究の権威であるポール・スタンリー教授をPNGに迎え、約1ヶ月の現状調査をお願いする予定だ。動物を使った輸送は現実的なのか、もしそれが難しいなら他にどのような輸送手段が考えられるかなどが検討される。

府は輸送費がかさむ空輸より前に、このようにお金のかからないPNGに適した輸送方法を考えるべきではなかったのか。今ならこう尋ねることができる。
「なぜもっと早くこの輸送手段を考えなかったのか?」
しかし賢い人ならこう答えるだろう。
「当たり前なことほど素晴らしく、気づきにくいものなんだよ。」


text by ジャック・メッタ

(了)


StreetBeat

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売れずに残った作物に囲まれ、途方に暮れる村人達。


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