部族語による授業は本当に悪いのか? -後編-     2006年6月1日(木)     記事一覧へ    前の記事へ    次の記事へ
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【掛け算】
-英語の学校-
3、5、10の掛け算を苦手としていた。しかし彼らにとってもっとも難しかったのは0(ゼロ)の掛け算だった。
-現地語の学校-
英語の学校と同様、3、5、10の掛け算を苦手としていた。やはり0(ゼロ)の掛け算は一番苦手としていた。しかし、全体の正答率は英語の学校より若干良かった。

英語の学校、現地語の学校ともに、3、5、10、0の掛け算を苦手としていた。しかし、現地語の学校の生徒は掛け算の基本的な考え方をある程度理解しているのに対して、英語の学校の生徒の多くは理解していないことがわかった。それがこの結果につながっていると考えられる。

【まとめ】
 現地語が使われている学校では、教わった現地語を応用して考えて使うことができる。色や形を音としてしか覚えていなくても、考えながら言葉として表記することができる。しかし、英語が使われている学校では、英語の単語などをただ覚えているだけであることが多いため、知っていればわかるし、知らなければわからない。新しい事柄に応用し、考えて英語を使うことができない。
 掛け算に対しては共に苦手な計算はあったが、そもそも掛け算とは何かというところの理解度は現地語の学校のほうが高かった。(日本人に対し英語で授業を行って英語で発表させても、理解力や表現力が日本語でやる場合に比べて明らかに劣るという状況に似ている)
 これらのことから、現地語による授業が英語の授業よりも劣っているとは一概には言えない。むしろ、子供達が考えて応用する力は現地語の学校のほうがうまくいっているといえる。さらには、英語で授業をしている教師自身が、現地語の方が自分が考えていることをうまく伝えることができる、という事も少なくない。

教師も生徒もお互いに自分が一番得意な言葉で授業をしたほうが、生徒達の学習に対する態度も積極的であったし、理解もよくしているように見受けられた。
パトリシア・パライデ
National Research Institute 教育部門研究員

(了)
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